Aquatic Integrated Carbon Sequestration Organization (AICaS)

Defining the Future of
White Carbon

AICaSは、従来のブルーカーボンと、水圏における生物による鉱物的CO₂固定であるWhite Carbonを統合し、その学術基盤の確立とカーボンクレジット認証を行う機関です。また、生物を模倣した工業的な鉱物固定の社会実装の促進も目指します。

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AICaSでは、当機構の目的に賛同し、活動を支援してくださる企業・団体・個人会員を募集しています。

以下より定款および入会申込書をダウンロードの上、事務局までご連絡ください。

Key Message

White Carbon & Calcification

海が秘める新たなCO₂吸収力
「ホワイトカーボン」と石灰化の真実

これまで「ブルーカーボン(海草やマングローブによる有機炭素固定)」が注目されてきましたが、海にはもう一つ、数億年にわたり地球の炭素を閉じ込め続けてきた巨大なシステムが存在します。

それが、サンゴや貝類が作り出す炭酸カルシウムの殻や骨格、すなわち「ホワイトカーボン(White Carbon)」です。

私たちAICaS(水圏統合カーボン固定推進機構)は、最新の科学的知見に基づき、これまで誤解されがちだった「生物による石灰化」の役割を再定義し、新たな炭素クレジットとしての価値化に取り組んでいます。

1. 「炭酸塩パラドックス」の誤解を解く
~石灰化は「CO₂放出」とは限らない~

長年、化学や環境科学の分野では「生物が殻(炭酸カルシウム)を作るとCO₂が発生する」という説が存在しました。私たちはこれを「炭酸塩パラドックス」と呼んでいます。
その根拠として、以下の化学反応式がよく引用されます。

Ca²⁺ + 2HCO₃⁻ → CaCO₃ + CO₂ + H₂O

この式だけを見ると、炭酸カルシウム(CaCO₃)ができると二酸化炭素(CO₂)が放出されるように見えます。しかし、私たちはこの定説が「仮想の化学反応」と「生きている生物の営み」を混同していると考えています。

化学式に見る「読み違い」

上記の式は物質の仮想の物質収支をまとめた式に過ぎず、反応がどう進むかという「駆動力」を説明していません。 実際、海の中で炭酸カルシウムの結晶を作るには、材料となる「炭酸イオン(CO₃²⁻)」が必要です。しかし、通常の海水(pH 8.1前後)では炭素の多くは重炭酸イオン(HCO₃⁻)として存在しており、酸性(CO₂が多い状態)に傾くほど、殻を作るための炭酸イオンは減ってしまいます。

生物学的真実:能動的な「中和」反応

サンゴや貝などの生物は、海水の中で受動的に結晶ができるのを待っているわけではありません。 最新の研究(pHイメージング技術など)により、海洋生物が骨格を作る微小な空間(細胞外石灰化液:ECM)は、周囲の海水よりも高いアルカリ性(pH 8.5~9.5)に保たれていることが確認されました。

生物は、エネルギーを使ってpHを上昇させることで、「能動的にCO₂の中和」を行っています。この中和プロセスによって、酸性の炭酸(H₂CO₃)は、結晶化しやすい炭酸イオンへと姿を変えます。つまり、石灰化の本質はCO₂を排出する反応ではなく、「生物が環境をコントロールし、CO₂由来の成分を安定した石(塩)に変えて固定する反応」なのです。

2. 生命の技術「バイオミネラリゼーション」
~呼吸で出るCO₂を「石」に変える~

生物がCO₂を石に変えるこのプロセスは「バイオミネラリゼーション(生物鉱物化)」と呼ばれます。

「廃棄物」を「資源」へ

多くの生物にとって、呼吸で出るCO₂は体外へ排出すべき「廃棄物」です。しかし、石灰化生物はこの呼吸由来の代謝CO₂を、殻を作るための炭素源として再利用していることが研究で示唆されています(骨格炭素の約75%が呼吸由来という報告もあります)。 彼らは、本来なら海へ放出されてしまうCO₂を、自らの体内でキャッチし、炭酸カルシウムという「燃えない炭素」として半永久的に封じ込めているのです。

海の中の「炭素のリレー」

AICaSが提唱する「水圏統合カーボン(Aquatic Integrated Carbon)」という概念は、以下の流れを一つのシステムとして捉えるものです。

  • 有機的固定(ブルーカーボン): 植物プランクトンや共生藻が、光合成でCO₂を「有機物」に変える。
  • 無機的固定(ホワイトカーボン): サンゴや貝がその有機物を食べてエネルギーにし、発生するCO₂を「炭酸カルシウム」に変えて固定する。

燃えて分解されやすい有機物を、燃えない安定した「石」に変えるこのリレーこそが、自然界における究極の炭素貯蔵プロセスです。

3. コンクリートと貝殻をつなぐもの
~数億年前から続く炭素貯蔵庫~

「ホワイトカーボン」という言葉は、コンクリートなど工業的な炭素固定を指す場合もありますが、本質は同じです。 セメントの原料である石灰岩は、太古の昔にサンゴや貝、円石藻などが作り上げた炭酸カルシウムの堆積物です。つまり、現代の都市を支えるコンクリートは、かつての海洋生物が固定した炭素に由来するものです。

  • ブルーカーボン: 数十年~数百年で分解される可能性がある(短期~中期貯蔵)。
  • ホワイトカーボン: 地質学的スケール(数億年)で安定して残る(長期貯蔵)。

私たちは、現代の海で行われている貝類養殖やサンゴ礁形成を、未来の地層を作る「現在進行形の炭素貯蔵」として再評価しています。

4. クレジット認証と社会実装への挑戦
~科学的根拠に基づく価値の創出~

AICaSでは、これらの科学的メカニズムに基づき、ホワイトカーボンをカーボンクレジットとして認証する制度設計を進めています。

LCA(ライフサイクルアセスメント)に基づく純炭素除去量の算出

貝類養殖を「CO₂吸収源(シンク)」として評価するためには、殻に固定された炭素量(Sshell)や海底への埋没量(Cburial)から、養殖活動(船の燃料、資材製造など)に伴う排出量(Eprocess)を差し引いた「正味の除去量(Net Carbon Removal: Cnet)」を算出する必要があります。

Cnet = Sshell + Cburial − Eprocess

貝養殖は餌が天然の藻類ですので、Cnetが大きくなると期待できます。

失われた価値の回復と経済循環

石西礁湖などのサンゴ礁海域では、環境変化により多くのサンゴが失われ、ホワイトカーボンによる炭素固定機能も失われました。私たちは、サンゴ養殖や保全活動による「固定機能の回復」を定量化し、それをクレジット(価値)として可視化することで、保全活動の資金が自律的に循環する経済モデルの確立を目指しています。

経済と環境の好循環
  • クレジット化: 貝養殖やサンゴ礁保全活動が環境貢献産業として評価され、新たな収益源となります。
  • NFTによる保全: ホワイトカーボンクレジット認証は、ブロックチェーン技術(NFT)を活用し、保全活動への支援履歴を半永久的に証明する仕組みを導入したいと考えております。「貝養殖振興」や「失われたサンゴ礁(炭素固定機能)」を回復させる活動に、自律的に資金が循環するモデルを構築します。
  • 工学への応用: 生物の「海水とCO₂をCaCO₃にする能力」を模倣した、低エネルギー型のCO₂鉱物化プラントの実証研究も進んでいます。

結論

海が持つ炭素固定能力は、ブルーカーボンだけではありません。 生物が能動的に行っている「石灰化:ホワイトカーボン」という精緻な化学反応を正しく理解し、評価すること。それが、脱炭素社会の実現に向けた、海からの新たな回答です。

Services

What We Do

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Standardization & MRV

鉱物的炭素固定の測定・報告・検証(MRV)手法を確立し、J-クレジット等への新たな区分登録を目指します。

Regional Projects

北海道(ホタテ)、広島(カキ)、宇和海(真珠)など、水産業と連携した社会実装プロジェクトを展開し、地域創生に貢献します。

⚙️

CO₂ Mineralization

生物に学ぶ鉱物固定技術や、海水・廃材を利用した工業的CO₂鉱物化技術の開発・普及を支援します。

Contact Us

AICaSの活動に関するお問い合わせは、下記までお願いいたします。

代表理事

鈴木 道生

一般社団法人 水圏統合カーボン固定推進機構